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2018.9.18 TUE

CONCERT

シャネル・ピグマリオン・デイズ 2018
太田 糸音(ピアノ)インタビュー

芸術を愛し、支援したガブリエル シャネルの精神のもとに、毎年5名の若手音楽家たちに演奏の機会を提供する「シャネル・ピグマリオン・デイズ」。
2018年参加アーティストとして年間6回のリサイタルに挑戦する太田糸音さん(ピアノ)は、2000年生まれの現在18歳。高校を2年で早期修了し、すでに大学2年生です。いま、最も注目される若手ピアニストの一人である太田さんに、お話を伺いました。





――ピアノを始めたきっかけを教えてください。

3歳から音楽教室へ通い、5歳からピアノを習い始めました。父も母もジャズ・ポップスの音楽家で、いつも家の中に音楽が流れている環境でしたが、強制的ではなく純粋に習いごととして始めました。物心がつく頃にはすでにピアノを弾いていた記憶があります。


――ピアニストになりたいと思ったのはいつ頃ですか?

小学4年生の時に、世界的なピアニストであるラン ラン氏の公開レッスンを受けたことが大きなきっかけです。当時は名前を知っているだけで、どのくらいすごい人かはわかりませんでしたが、彼の演奏を目の前で聴き、子どもながら「音が生きている!わくわくする!」と感じました。実は、その頃からピアノをただ長時間練習することが苦痛になり始めていたのですが、ラン ランは魔法のようなレッスンでピアノの楽しさを教えてくれました。彼は私にとってヒーローのような存在です。


――大阪出身の太田さんは中学卒業後、東京音楽大学付属高等学校へと進学し、高校入学と同時に都内の寮での暮らしを始めましたね。

規則正しい生活を送ることを両親と約束し、高校進学と同時に寮生活を始めました。それまでピアノの練習以外のことは親がしてくれていましたが、寮生活が始まり授業とピアノの練習の合間に、家事もすべて自分でこなさなければならなくなりました。上京する前に洗濯の仕方だけ母から教えてもらいましたが、いざ一人で洗濯したとき、柔軟剤だけでお洋服を洗ってしまったり…(笑)


――高校入学直後に飛び級制度の開始が決まり、偶然にも太田さんの在籍する学年から制度が適用されることになったそうですね。それを知った太田さんは、密かに飛び級を目指す決心をしたと聞きました。飛び級を選んだ理由は何だったのでしょうか?

同級生とはとても仲が良く、毎日楽しい高校生活を過ごしていましたが、内心これではダメだ!という気持ちがありました。あえて厳しい環境に行ってみたいと。飛び級を選んだのは、そのなかで、自分を見失わずやっていけるかを試してみたいな、と思ったからです。それからは、飛び級の条件をクリアできるように、日常の勉強も筆記試験に向けて頑張りました。


――見事に条件をクリアし、学校創設以来、初めて高校を2年で修了したそうですね。そして、18歳の誕生日を迎えた4日後、シャネル・ピグマリオン・デイズで初めての演奏を行いました。ピグマリオン・デイズを知ったきっかけを教えてください。

2015年度の参加アーティストであるピアニストの酒井有彩さんに憧れていて、酒井さんのシャネルでの公演にお伺いしたことがきっかけです。高校に入学してすぐの頃で、シャネルのビルに入ることだけでもすごく緊張しましたが、すぐにネクサス・ホールの空間に心奪われました。ほどよく張りつめた雰囲気のなか、アーティストとお客さまの距離も近いので、お客さまと呼吸や心を共有している…と感じました。それがとても魅力的で。そして私もいつかこの舞台に立ってみたいなと思いました。


――太田さんにとって、ピアノを弾いていて最も楽しい・嬉しい瞬間は?

お客さまへ私の想いをお届けできること!これに尽きます。演奏して、人々へ想いが届く。これは決して一人で出来ることではないからです。演奏するということは、私自身の言葉を届けることだと思っています。曲によって感じる想いや届けたい想いは変わりますが、聴いてくださる方々と、想いを共有できることは何よりの喜びです。


――まだ18歳の太田さんですが、ピグマリオン・デイズでの活動を、今後にどう活かしていきたいですか?

ピグマリオン・デイズに参加し、お客さまの前で演奏を重ねることで、音楽が持つ力についてより強く意識することが増えました。音楽というのは作曲家が生み出すもので、いわば作曲家の子どものようなものだと思っています。一人の人間が生み出した曲の中には、その人の考えや人生などのドラマが広がっています。その世界を覗いていると、もう日常には戻れないのではないかと思うほど、その曲の虜になったり…。音楽は言葉にできて、言葉にならない感情を表現できるものだと思います。だから心から震え、感動すると思うのです。その意識は今後もずっと大切にしていきたいと思います。


――将来どのようなピアニストを目指していらっしゃいますか?

ただピアノを弾けるだけではなく、音を鳴らす以上に語れる人になりたいです。音楽を聴いて、その人の人生が見えてくるような演奏に憧れます。音楽以外にも様々なことをつき詰めて追求していきたいです。


――来年以降のご予定を教えてください。

ソロもアンサンブルもあり、友人のピアノ協奏曲の初演演奏などさせていただく予定です。また来年は大学3年生になり人生の選択をするタイミングにもなるので、海外への留学も視野に入れています。


2018年9月
取材・文:シャネル・ネクサス・ホール




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太田 糸音 Shion Ota
2000年生まれ。2017年東京音楽大学付属高等学校を2年次で早期修了し、飛び級にて現在、東京音楽大学ピアノ演奏家コース・エクセレンス2年、特別特待奨学生として在学中。2013年全日本学生音楽コンクール中学校の部全国大会第1位併せて野村賞、井口愛子賞、福田靖子賞、音楽奨励賞を受賞。2007年より10年連続でピティナ・ピアノコンペティション全国決勝大会において入賞し、2016年には特級銀賞、聴衆賞を受賞。2017年松方ホール音楽賞第1位受賞。2011年より6年連続で大阪府高石市教育委員会より表彰される。2018年マルタ国際ピアノコンクール第2位。NHK Eテレアニメ「クラシカロイド」作中原曲演奏を担当。これまでに大阪フィルハーモニー交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、大阪交響楽団、東京交響楽団、日本フィルハーモニー管弦楽団等と共演。

今後の演奏予定:
シャネル・ピグマリオン・デイズ 室内楽シリーズ11月
https://chanelnexushall.jp/program/2018/chamber_201811/

シャネル・ピグマリオン・デイズ グランドフィナーレ2018
https://chanelnexushall.jp/program/2018/cpd_gf_2018/